2013年02月13日

【映画評】ゼロ・ダーク・サーティ

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ゼロ・ダーク・サーティ(監督:キャスリン・ビグロー 主演:ジェシカ・チャステイン、 ジェイソン・クラーク) [DVD]
ゼロ・ダーク・サーティ(監督:キャスリン・ビグロー 主演:ジェシカ・チャステイン、 ジェイソン・クラーク) [DVD]

俺たちのみずぽ師匠が「なんでビン・ラディンさんを殺すですかぁ?可哀想ですぅ」って怒ったんだよな。

今年のオスカー本命です。
昨日上梓した「アルゴ」と併せて見れば面白さ倍増。スズキの車も大活躍。

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映画『ゼロ・ダーク・サーティ』公式サイト    2013年2月15日公開


ゼロ・ダーク・サーティ=24時30分

教条くさい箇所やプロパガンダ臭は否定しませんが、単純にして明快に面白い。
尺は3時間弱ありますが、没頭出来るのでまったく苦になりません。
ヤマ場のビン・ラディン秘密アジト襲撃シーンも、ブラックホーク・ダウンやネイビーシールズのような肉弾弾ける銃撃戦でなく問答無用で無慈悲な一方的な陵辱〜屠殺で生々しく、冒頭の拷問シーンと併せ、マケインやCIA高官がこの映画を糾弾しているそうで、ビグロー監督しめしめでしょう。。
とまれ、同じ「出来なかったらごめんなさいすればいいんだよ」から始まったビン・ラディン暗殺計画と民主党マニフェストに大きな差がついた原因を我が党は検証すべきではないか。

ビンラディン殺害の米兵困窮=無職で恩給なし、報復の恐怖も

 【ワシントン時事】米誌エスクワイア(電子版)は11日、パキスタンで2011年に国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦を遂行した元米特殊部隊員の証言を掲載した。元隊員は同容疑者の額に2発の銃弾を撃ち込んだなどと回想。また、退役した現在は無職で恩給も受けられず、報復の影におびえていると心境を明かした。
 元隊員はこの中で、12年に軍務を離れて以来、復讐(ふくしゅう)の恐怖に神経をすり減らしながら、生活の糧を得るのに腐心してきたと説明。軍隊生活は16年にわたったが、20年務めないと恩給を受給できず、身の安全も保証されていないと窮状を訴え、妻子には自宅で襲撃を受けた際の対応を教え込んだと語った。
 作戦当時の様子については、部屋に踏み込んだ時、ビンラディン容疑者の手が届く範囲にAK47自動小銃があったなどと述懐。「彼は困惑した様子だった。自爆の機会を与えないよう頭を狙う必要があり、その瞬間に引き金を引いた。額に2発。床に打ち付けられたところをもう1度撃った。同じ場所だ」と述べた。(2013/02/12-15:26)


最後に、本作中でも語られていた米軍の汚点「レッドウィング作戦」の映画化も進行しているそうで(映画のタイトルはローン・サバイバー)、こちらも楽しみ。監督は旭日旗大好きのピーター・バーグ(バトルシップ)だそうです。

で、なんかよく分かりませんが、本編のクライマックスシーン(からエンディングまで36分間)が平然とyoutubeへアップされていました。復習にどうぞ。(予習で見ちゃダメだよ)
Zero Dark Thirty Bin Laden Mission - YouTube

満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆

【関連エントリー】
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【追記】
村上龍さんのメルマガJMMで面白い考察があったので参考貼付。
冷泉さん曰く本作はオスカーに相応しくない。ある意味、御意。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/ 2013年2月16日発行

『from 911/USAレポート』第612回
「観客に挑戦する新次元の映画表現、『ゼロ・ダーク・サーティ』」
■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

(前略)
 さて、この作品ですが様々な非難に晒されています。興味深いことに、非難というのは一つの政治的立場からではなく、三方向からのまるで十字砲火のような攻撃を受けたのでした。まず噛み付いたのはCIAなど政府当局でした。ビグロー監督は、公開されていない機密情報に接したばかりか、それを映画として表現しているというのです。

 その反対に、共和党側からも大きな非難が上がりました。「この映画はオバマ政権によるビンラディン殺害成功の凱歌」であるとした上で、「2012年の大統領選の投票日前に公開するのは、オバマに有利になるので反対」だというキャンペーンが張られたのです。この点に関しては、オバマ陣営は「映画とは一切無関係」だと主張したのですが、配給側は余計なトラブルに巻き込まれるのを恐れて公開時期を延期しています。

 ではリベラルの側からは好意的に受け止められたのかというと、決してそうではありませんでした。映画の重要な要素として「拷問」のシーンがあるのですが、その拷問を「肯定的に描いている」ということから、民主党の重鎮ダイアン・ファイスタイン上院議員(民主、カリフォルニア州選出)を中心に抗議の声が上がっているのです。

 たぶん、この「拷問シーン」というのが本作の大きなカギなのだと思います。まず見る者を不快にするような拷問のシーンが冒頭部分にあり、まだ「初心者で純真なものを残している」主人公のマヤも不快そうに立ち会う、そんな始まり方をする中で、やがてマヤは「拷問の結果として得られた情報(諜報、インテリジェンス)」にどんどん頼るようになって行くのです。

 これをフィクションとして見れば、マヤという若い女性が「理想を捨てて現実主義者への成熟」を遂げる「キャラクターの進化(もしくは転落)」という物語として受け止めることができるでしょう。ですが、これを「ジャーナリズム」だとして見るならば、観客はこの「拷問シーン」に対してどんな立場に立つのかを「自分で決めなくてはならない」ということになります。

 ここが大きなポイントです。拷問というエピソードだけではありません。マヤという人物の「苦労話」というフィクションとして見れば、その後に出てくる、あるとあらゆる超法規的なCIAの行動も、パキスタンやアフガンの「地元」への偏った視線も「ドラマチックでリアルな映像」のための「小道具」として許せてしまうのですが、「映像ジャーナリズム」となると、そうは行きません。

 世界の各地に、CIAが超法規的な「地下(ブラック)拠点」を持っていること、諜報活動として「拷問」が日常茶飯となっていること、CIAの分析官には特殊な素質を持った人間を10代のうちからスカウトして養成していること、オサマ・ビンラディンの殺害作戦に関してはパキスタン領内に米海軍特殊部隊が侵攻するという正に超法規的な行動であったこと・・・こうした「事実」に対して、我々は選択を迫られるのです。「面白いドラマ」の「お膳立て」として見過ごすのか、あるいは「現実」として受け入れて批判の対象にするのかという選択です。

 冒頭に延々と続く「拷問シーン」は、観客に対して前者ではなく後者、つまり「批判対象としての現実」を突きつけるために置かれていると言っていいでしょう。実際問題として、「ウォーター・ボード(水責め)」と言われる拷問手法に関しては、これまで10年近く、その是非が政治的な論争になってきましたが、本作で初めてその実態がリアルに描かれたと言っても過言ではないと思います。

 この点に関しては諸説があるのですが、私は本作の主人公のような「ビンラディン追跡のキー・パーソン」が実在したとして、それは「マヤ」のような若い女性ではなかったのではないかと考えています。映画として、主人公が若い女性であれば「社会問題に関心の薄い平均的な観客」でも感情移入して最後まで見てくれそうだということもありますが、一旦は「マヤ」に感情移入しても、どこかで「このストーリーには本当に正義があるのか」という重苦しい自問自答との「ズレ」というか「ねじれ」の不快感を観客に味あわせるというのが、ビグロー監督の意図であったのではないか、どうもそのような「手つき」が感じられるからです。

 そうした「重苦しい告発」として、本作を改めて振り返ってみると、拷問の問題どころではない、極めて重要な二つの問題に関しても気になる表現がされていることに気づきます。一つは、「911というのは、本当にオサマ・ビンラディン率いるアルカイダというグループの犯行なのか?」という問題と、「2011年5月1日(2日)にパキスタンのアボッターバードで米海軍特殊部隊によって殺害された男性はオサマ・ビンラディンなのか?」という問いです。映画は、この二つの問いに関しては決定的な答えを出してはいません。こちらも拷問の是非という問題と同様に、判断は観客に委ねられたままなのです。

 そうなのです。本作は政治的な「メッセージ」を強く打ち出しながらも、その「立場性」については映画の側からの「押し付け」はしていないのです。この映画を見ることで、「CIAの超法規的な反テロ作戦」の是非に関して、「一体あなたはどう考えるのか?」という「立場性」の選択を観客は突きつけられることになるのです。

 ある人は「邪悪なテロリストに対する一人の女性の正義の戦い」だという「立場」を確認するかもしれません。またある人は「ここまで非人道的、超法規的な手段を使うというのはアメリカはダークサイドに堕ちた」という「立場」に至るかもしれません。またある人は、「テロリストもスパイもゴメンだ」という「立場」かもしれません。いずれにしても、観客は思考停止が不可能な場所に追い詰められて自問自答するように作られているのです。
(後略)

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(2)テロ | 映画
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コメント
明日「ダイ・ハード/ラスト・デイ」を見て、あさってに「ゼロ・ダーク・サーティ」を見る予定です。
「アルゴ 」は先月見ました。面白かったです。
「アウトロー」はけっこう楽しめました。オススメです。
Posted by worldwalker2 at 2013年02月15日 20:37
ジャンゴが3月1日からですね。
Posted by kingcurtis at 2013年02月15日 20:48
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