2012年07月08日

【映画評】ル・アーヴルの靴みがき

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移民社会フランスで生きる子どもたち
移民社会フランスで生きる子どもたち

フィンランドを代表するアキ・カウリスマキ監督の最新作(とはいえ2011年の作品)
ラストシーンの桜が奇麗ですが、我が国を含め主要各国共にこういう地域コミュニティに支えられた義理と人情なんてのは忘却の彼方に喪失したんでしょうね。

そういう事態を招いた理由はフランスに於いては移民問題が起因なのかどうか分かりませんが、本作のようにベトナムからの密入国者が中国人の出生証明を手に入れ社会保障を仰ぎ平穏に家族を養っているありふれた日常が日本の数年後の姿だったら嫌だなぁ。

イントロダクション|映画『ル・アーヴルの靴みがき』公式サイト

北フランスの港町ル・アーヴル。パリでボヘミアン生活を送っていたマルセル・マルクスは、いまはル・アーヴルの駅前で靴をみがくことを生業としている。家には献身的な妻・アルレッティと愛犬ライカが彼の帰りを待っている。その小さな街で暮らす隣近所の人々の温かな支えも、彼にとってはなくてはならない大切な宝物だ。そんなある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが漂着する。警察の検挙をすり抜けた一人の少年イドリッサとの偶然の出会いが、マルセルの人生にさざ波をおこす。しかし同じ頃、妻のアルレッティは医師より、余命宣告を受けるのだった…。

世知辛い世の中にあって「“カウリスマキ界隈”では、奇跡は本当におきてしまう」とカンヌ国際映画祭で絶賛を浴び、“最高のハッピー・エンディング映画”として映画史に名を刻むであろう、アキ・カウリスマキ監督最新作が到着しました。100分以内に収まるミニマルな様式で庶民の慎ましい生活を描く“いつもながら”のカウリスマキ節と、“いつにも増して”愛おしい温もりに満ちた物語が、あらゆる観客を至福のひとときに誘う、ヒューマン・ドラマの傑作の誕生です。吹き荒れる嵐のなかにあっても、ル・アーヴルの港には、いつまでも善意と信頼のあかりが灯っているでしょう。拠り所を失った人々に対する映画の優しい抱擁をぜひご堪能ください。




映画『ル・アーヴルの靴みがき』公式サイト


ル・アーヴルの靴みがき 善意を信頼 純粋なお伽話

 アキ・カウリスマキ監督が『マッチ工場の少女』で私たちを瞠目(どうもく)させてから早20年以上が経つ。その作風は相変わらず淡々としているが、映画のたたずまいが長い歳月に磨きぬかれ、本作は最高傑作と呼びたい独創の高みに達している。本年必見の1本である。

 主人公マルクスはノルマンディの港町でしがない靴みがきを生業(なりわい)とする初老の男。ある日、港にアフリカから不法難民が乗ったコンテナが流れつく。マルクスは、警察の一斉検挙を逃れた少年イドリッサと出会い、少年をかくまって、ロンドンにいる母のもとに送りだそうと決意する……。

 カウリスマキにしては珍しく、物語の主題は社会的だ。損得勘定と効率一辺倒のグローバリズムの支配下にあって、世界の理不尽に喘(あえ)ぐ難民を救えという率直なメッセージが打ちだされている。しかし、ここには性急で硬直した政治性は皆無だ。ひたすら人間の善意への信頼だけが描かれる。その意味でこの映画はお伽(とぎ)話(ばなし)だ。この上なく純粋で美しいお伽話なのだ。

 社会の底辺に生きる主人公が、黒人難民の少年にむける善意と、病身の妻によせる胸苦しいほど切ない愛。そして、彼らを陰に陽に助ける近隣の人々の無償の友情。この映画では私たちが失いつつある当たり前の感情の尊さが無条件で肯定されている。

 主人公の病妻を演じるカウリスマキ映画常連のカティ・オウティネンの可憐(かれん)さを筆頭に、一見冷酷な刑事、ワンシーンだけだが音楽の喜びを画面一杯に漲(みなぎ)らせる老いたロック歌手、そして忘れてはならない名犬ライカ君に至るまで、役者たちの素晴らしさが筆舌に尽くしがたい。

 とくに凄(すご)いのは撮影の妙技で、これほど暖かい色彩の映画はめったにない。ラストで主人公夫婦が見る桜の淡い色あいにこの作品の幸福感が凝縮されている。1時間33分。

★★★★★

(映画評論家 中条 省平)


最後に、先日のユーロ2012でのドイツ選手による国歌斉唱騒動を参考貼付。

愛国心不足で負けた?=国歌歌わぬサッカー選手に批判−ドイツ

【ベルリン時事】ポーランドとウクライナが共催したサッカーの欧州選手権で優勝を期待されながら準決勝で敗退したドイツで、試合前に国歌を歌わなかった一部の代表選手が批判を浴びている。保守派政治家からは「負けたのは愛国心が足りないからだ」との八つ当たり気味の声も上がっている。
 歌わなかったのは大半が移民系選手で、トルコ系のエジル、ポーランド系のポドルスキ、チュニジア系のケディラの各選手らが国歌斉唱の間、口を真一文字に結ぶ姿がテレビに映し出された。
 大衆紙ビルトは「われわれは十分に愛国的か」との見出しの記事を掲載。ヘッセン州のブフィエ州首相は「国歌を歌うのはエチケット。こんな議論をしなければならないこと自体が腹立たしい」と怒りをぶちまけた。
 また、往年の名選手のフランツ・ベッケンバウアー氏は「闘志はキックオフ前からかき立てなければならない」と指摘。「代表監督時代は選手に国歌を歌うよう義務付け、1990年のワールドカップ(W杯)を制した」と語った。


我が国にも国歌斉唱を忌み嫌う奇妙な亡国の宰相がいましたが、ひょっとして移民の子だったんですかね?

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